電気自動車用バッテリーの冷却プレート均熱化に向けた円柱直径分布の最適化
電気自動車用バッテリーモジュールでは、性能維持および寿命延長のため、全体を所定温度範囲に保つだけでなく、セル間の温度差を抑えることが重要である。本研究では、冷却プレート内に整列した円柱の直径分布を最適化し、温度むらを低減する流路設計手法を検討した。対象は図1に示す1.0 m×1.5 mの二次元領域に配置した150本の円柱であり、円柱中心位置を固定したまま、各直径を20 mm~80 mmの範囲で設計変数として、設計領域内の温度分散を最小化した。 COMSOL Multiphysicsを用いて、まず円柱を含む周期ユニットセルの乱流解析を行い、円柱直径と圧力差を変化させて得た流量特性から、Darcy–Forchheimer型の透過率と抵抗係数を同定した。次に、150本の円柱を各反復で直接解像する代わりに、円柱列を等価な多孔質体として表現し、設計領域全体のBrinkman–Forchheimer型RANS解析を行った。Livelink for MATLABを用いることで、密度の異なる二つのメッシュを組み合わせて計算を行った。細かいメッシュ上で熱流体解析と感度計算を実施し、粗いメッシュ上で設計変数の保持およびMethod of Moving Asymptotes法による設計変数の更新を行った。さらに、最適化結果から円柱列を再構築し、円柱形状を解像したRANS解析との比較により結果の妥当性を評価した。 100ステップの最適化により、多孔質モデルでの温度分散は443 K²から51.8 K²へ低下し、初期値の12%となった。図2は最適化で得られた設計変数分布およびその結果から再構築した円柱列を示している。外周部に直径の小さい円柱が配置されたことで、外周に沿う流れが形成され、冷媒が入口から出口へ短絡するだけでなく領域全体へ分配された。その結果、図3の温度分布に示すように初期形状で上端付近に広く形成されていた高温領域が抑制され、温度分布が均一化した。円柱列を再構築して解像した解析では、局所的な速度・温度分布に最適化計算との差が見られたものの、流れの分配と温度均一化の全体的な傾向は概ね一致し、温度分散も234 K²から82.2 K²へ低減した。以上より、本手法は高レイノルズ数条件下で計算負荷を抑えながら、製造可能な円柱列型冷却流路の設計候補を効率的に探索する方法として有効であることを確認した。
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