COMSOLによる多体粒子の電磁散乱・吸収解析

樫村京一郎1, 宮田健史1, 米大海2
1中部大学 工学部
2計測エンジニアリングシステム
Veröffentlicht in 2026

【研究・検討内容】 本研究では、多数の粒子から構成される実試料を対象として、マイクロ波照射時の電磁散乱・吸収挙動と、それに伴う局所加熱現象を明らかにすることを目的とした。一般的な球形粒子や周期配置を仮定したモデルでは、実試料に存在する粒径分布、粒子形状、接触状態、空隙構造などの影響を十分に表現できない。そこで、実際の粒子充填構造をX線CTにより三次元的に計測し、得られた断層画像から粒子、空隙および異相界面を再構築した。実構造に基づく数値モデルを用いることで、粒子群内部における電磁波の多重散乱、局所的な電界集中および吸収電力分布を解析した。

【COMSOL Multiphysicsの使用内容】 X線CTデータから構築した三次元形状をCOMSOL Multiphysicsに読み込み、RF Moduleを用いて周波数領域の電磁場解析を実施した。入射マイクロ波に対し、散乱境界条件、周期境界条件あるいはポート境界条件を設定し、各材料には複素誘電率を与えた。マクスウェル方程式に基づき、電界・磁界分布、ポインティングベクトル、反射・透過特性および誘電損失による体積発熱密度を算出した。さらにHeat Transfer Moduleと連成し、得られた発熱分布を熱源として、熱伝導を含む過渡温度分布を解析した。

【結果の概要および結論】 解析の結果、粒子群内部の電磁場は均一ではなく、粒子間隙、接触部、突起部および誘電率の異なる材料界面において電界が局所的に増強されることが確認された。これにより、平均誘電損失のみからは予測できない局所的な吸収増大とホットスポットが形成された。また、粒子による多重散乱によって電磁波の伝搬経路が複雑化し、充填構造や粒子配置の違いが加熱速度および温度分布に大きく影響することが示された。以上より、粒子系のマイクロ波加熱挙動を高精度に予測するには、実構造を反映した電磁場・伝熱連成解析が有効であり、X線CTとCOMSOL Multiphysicsを組み合わせた解析手法は、加熱条件の最適化、ホットスポットの予測およびマイクロ波加熱炉の設計に有用であると結論づけられた。

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